コンセントは、完成後に増やそうとすると壁や床を壊す工事になりやすい設備です。数だけを増やすのではなく、家具と家電の位置、同時に使う機器、将来の使い方を先に決めます。
70㎡・3LDKの家電リスト
夫婦と子ども1人が暮らす70㎡前後の3LDKを例にします。常時使う機器と、同時使用する機器を分けて書き出します。
| 場所 | 想定する機器 | 確認すること |
|---|---|---|
| キッチン | 冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、食洗機、電気ケトル | 専用回路の要否、蒸気とコードの位置 |
| リビング | テレビ、録画機、ルーター、掃除機 | テレビ台の背面、通信機器の熱 |
| ダイニング | ノートPC、ホットプレート、スマートフォン | テーブル上で使えるか |
| 洗面室 | 洗濯乾燥機、ドライヤー、電動歯ブラシ | 水はね、収納内の充電 |
| 寝室 | 照明、スマートフォン、空気清浄機 | ベッド両側から届くか |
| 玄関 | 掃除機、電動自転車の充電器 | 通行を妨げないか |
機器の消費電力や専用回路の条件は、選ぶ製品の取扱説明書・メーカー仕様と電気工事士の確認を優先します。機種が未定の場合は、候補品の仕様を複数示して相談してください。
部屋別の配置例
キッチン
冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、食洗機を背面収納にまとめる場合、コンセントを収納の中へ隠すだけでは不十分です。扉を閉めたまま使う機器、蒸気が出る機器、清掃時に抜く機器を区別します。電子レンジと電気ケトルを同時に使うなら、回路容量を施工者へ確認します。
リビング・ダイニング
テレビを壁掛けにするなら、電源と通信線をどの高さ・位置へ出すかをテレビの寸法で決めます。ソファの両端に充電用のコンセントがあると便利ですが、家具を変える可能性があるなら一か所に固定しすぎない方がよい場合もあります。ダイニングでは、ホットプレートを使う位置とコードが通路を横切らない位置を図面で確認します。
寝室・個室
ベッドを置く壁の左右にコンセントを一つずつ設けても、ヘッドボードで隠れることがあります。ベッドの幅、壁からの離れ、サイドテーブルの高さを先に決めます。在宅勤務用の机には、PC、モニター、照明、充電器の数を想定し、床からの高さも指定します。
専用回路と分電盤の確認
IH、食洗機、電子レンジ、浴室乾燥機、エアコンなどは、専用回路が必要になることがあります。どの機器に専用回路が必要かは機種と住宅の電気設備によるため、一般論だけで決めません。既存分電盤の回路数、契約容量、分電盤を交換する可能性を見積書に明記してもらいます。
「コンセントを増やせば安心」と考えても、分電盤や幹線の容量が足りなければ、同時使用時にブレーカーが落ちることがあります。マンションリノベの設備制約もあわせて確認してください。
失敗を防ぐ現場確認
- 家具を置いた状態で差し込み口が見えるか
- 掃除機のコードが部屋を横切らないか
- 扉・引き出し・窓と干渉しないか
- 水はねしやすい場所を避けているか
- ルーターや充電器を熱がこもる収納に入れないか
- エアコン・給湯器・食洗機の電源位置が仕様と合うか
- 工事後に家具で隠れるコンセントを作っていないか
着工前に平面図へコンセント記号を入れ、家具の輪郭と家電名も書き込みます。現場では下地や配管との関係で位置が変わることがあるため、変更があれば図面を更新してもらいます。
相談時に聞く質問
- この家電リストで同時使用しても容量上問題ないか
- 専用回路が必要な機器と、その根拠は何か
- 分電盤の空き回路と契約容量は十分か
- 将来、個室を在宅勤務に使う場合の配線を用意できるか
- テレビ壁掛け、キッチン収納、ベッドで隠れない位置か
- 工事後の配線図・回路図を受け取れるか
70㎡で2案を比較する
同じ家電量でも、暮らし方で計画は変わります。
| 案 | 想定する家電 | 計画の特徴 |
|---|---|---|
| A:標準的な3LDK | 冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、食洗機、テレビ、ルーター、洗濯乾燥機 | キッチン背面、テレビ台、洗面室、各居室に用途別の電源を配置 |
| B:在宅勤務・充電重視 | Aにモニター2台、プリンター、ロボット掃除機、複数の充電器を追加 | 仕事机の回路と通信機器の置場を確保し、掃除機の基地も通路外へ置く |
Aは費用と配線を抑えやすい一方、後から家電が増えるとタップに頼りやすくなります。Bは使いやすい反面、机の位置を変えると電源が余る可能性があります。家電が未定なら、候補機種の仕様と置場だけでも図面へ残します。
よくある失敗を場面で確認する
- 夕食時:電子レンジと電気ケトルを同時に使い、ブレーカーが落ちる。専用回路の要否を機種仕様で確認する。
- 掃除中:廊下の一か所しか使えず、コードが階段状に通路を横切る。各部屋の入口と掃除機の動線を確認する。
- 在宅勤務中:机を壁際へ置いたら、コンセントが机の脚や収納に隠れる。家具の輪郭を先に図面へ書く。
- 買い替え時:冷蔵庫を大きくしたら扉が壁に当たる。今の機器だけでなく候補の外寸と開閉方向を確認する。
工事を後回しにする代替案
家電の購入時期が決まっていないなら、すべての位置を造作せず、家具で隠れない位置に汎用コンセントを設け、必要な場所は将来増設できる配線ルートを確認する方法があります。ただし、延長コードを恒常的に使う、水回りでタップを増やすといった代替は安全面で施工者へ確認が必要です。
図面に書き込むチェック表
- [ ] 家電名・型番候補・消費電力を記録した
- [ ] 家具を置いた状態で差込口が隠れない
- [ ] 扉・引き出し・窓・水はねと干渉しない
- [ ] 同時使用する機器を回路ごとに分けた
- [ ] テレビ・ルーター・机の通信線を確認した
- [ ] 分電盤の空き、契約容量、将来の機器を確認した
見積もりで確認する工事項目
コンセント本体、配線、専用回路、分電盤、電圧変更、既存配線の撤去、壁の開口・補修、LAN配線、テレビ配線を分けます。キッチンや洗面の設備に付属する電源、照明スイッチと連動する費用が含まれるかも確認してください。リノベーション見積もりの比較方法と家具配置もあわせて確認できます。
変更が出たときの記録
コンセント位置は、着工前の図面と現場で変更されることがあります。変更した場所、理由、回路番号を記録し、引き渡し時に最終図面を受け取ります。将来、食洗機やエアコンを交換するときに、配線を探す手間を減らせます。
まとめ
コンセント計画は、数ではなく「どの家具の近くで、何を同時に使うか」から始めます。70㎡前後の住戸でも家電は多く、専用回路や分電盤まで確認しないと使い勝手と安全性の両方で困ることがあります。
照明との連動やスイッチの位置はマンションリノベの照明計画で、家具配置との関係は家具配置から考えるマンションリノベーションで整理できます。
公式情報
電気設備の仕様は、機器の取扱説明書と電気工事店の確認を優先します。住宅設備の例として、Panasonic 住宅分電盤・分岐回路の公式情報も参照してください。


