ファミリークローゼットは、家族の衣類やバッグを一か所にまとめる収納です。洗面室や寝室の近くに置けば、洗濯物を各部屋へ運ぶ手間を減らせます。一方で、広い収納を確保しようとして個室やLDKを削りすぎると、「収納は増えたのに居室が狭い」という結果になりかねません。
この記事では、70㎡前後の中古マンションで夫婦と子ども1人が暮らすケースを前提に、ファミリークローゼットの計画を考えます。寸法や工事費は住戸・収納量・建具・仕上げで変わるため、目安をそのまま発注条件にはしないでください。
最初に収納する物を数える
「家族分だから大きく」という決め方ではなく、衣類、布団、季節用品、スーツケース、バッグ、子どもの通園用品などを分けます。ハンガーに掛ける服、畳む服、箱で保管する物では必要な奥行きと棚の高さが異なります。
購入前に、次の3日間だけでも、洗濯物をどこからどこへ運んでいるか記録します。収納の入口が洗面室に近い方がよいのか、玄関に近い方がよいのかは、家庭の動きで変わります。
70㎡で比較する2案
案A:洗面室に隣接する通り抜け型
洗面室・室内干しスペース・ファミリークローゼットを連続させ、洗う、干す、しまうを近づける案です。乾いた衣類を各個室へ配る量が減り、子どもが自分で取り出しやすい利点があります。玄関側にも出入口を設ければ、帰宅後に上着やバッグを置いて着替えられます。
ただし、通り抜けのために棚を置けない壁が増えます。湿気がこもる場所では換気・除湿を確認し、洗濯機の音が寝室へ伝わらないかも検討します。
案B:一方向の大容量型
出入口を一つにして、壁面を連続した棚とハンガーパイプに使う案です。通路面積が少なく、収納量を確保しやすい一方、洗面室や玄関からの距離が長くなると、結局一時置きが増えます。70㎡で居室を優先したい場合は、収納を大きくせず、季節用品だけ別置きにする方法もあります。
二案を比べるときは、収納の広さではなく、毎日何回通るか、家族が同時に使うか、棚の前で着替えられるかを確認します。
失敗しやすい3場面
収納の入口が狭く、洗濯物を一時置きする
棚の量を優先し、入口と通路を小さくすると、洗濯物を持ったまま方向転換できません。設計図には洗濯かご、ハンガー、扉を開けた状態を描きます。
家族全員の物を入れたら、誰の物か分からない
一か所にまとめるだけでは、畳んだ服が混ざります。棚やハンガーの高さを家族ごとに分け、子どもが自分で戻せる位置を確保します。将来の成長で必要な高さが変わるため、可動棚も比較します。
収納を増やした分、LDKの家具が置けない
壁一面の収納は便利ですが、70㎡ではLDK側の壁面や個室の面積を使います。ソファ、ダイニング、テレビ、ベッドの寸法を先に図面へ置き、収納後の通路幅を確認してください。
工事しない代替案
ファミリークローゼットを新設する前に、既存収納を家事動線に合わせて使えるか試します。
- 洗面室近くに可動ラックとハンガーラックを置く
- 玄関収納の一部を上着・バッグ専用にする
- 各個室の収納を減らし、廊下収納へ集約する
- ベッド下や押入れの棚を整理し、季節用品の場所を固定する
2〜4週間使って、洗濯物の一時置きが残る場所を特定してから工事を検討します。収納家具で解決するなら、壁を壊す費用や建具の費用を他の工事へ回せます。
図面チェック表
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 収納物 | 衣類・布団・季節用品・バッグを種類別に数えたか |
| 棚寸法 | 畳む物、掛ける物、箱の高さに合っているか |
| 通路 | 洗濯かごや人がすれ違えるか |
| 入口 | 扉を開けた状態で棚・家具と干渉しないか |
| 換気 | 湿気を排出できるか、窓や換気扇の位置は適切か |
| 照明 | 棚の影にならず、衣類の色を確認できるか |
| 点検 | 分電盤、配管、点検口をふさがないか |
| 将来 | 子どもの成長や在宅勤務で用途が変わっても使えるか |
洗面室との行き来を考えるなら、キッチン・浴室・洗面の移動条件と狭い部屋を広く使う方法も参考にします。既存の壁を撤去できるかは壊せる壁・壊せない壁で確認してください。
見積もり項目
ファミリークローゼットは棚板だけでなく、次の工事を伴います。
- 既存壁・収納の解体と廃材処分
- 間仕切り壁、下地、断熱、建具
- 棚板、ハンガーパイプ、可動金物、造作費
- コンセント、照明、スイッチ、必要な電気工事
- 換気・除湿設備、壁・天井・床の仕上げ
- 洗面室や室内干しとの接続に伴う給排水・換気工事
- 設計料、現場管理費、諸経費
「収納一式」とだけ書かれた見積もりは、棚の枚数、材質、可動範囲、扉の有無を明細にしてもらいます。造作を既製品へ替えた場合の差額も確認しましょう。
向いている人・向かない可能性がある人
家族の衣類を一か所で管理したい人、洗濯から収納までの移動が負担になっている人、家族が自分で物を戻す仕組みを作りたい人に向いています。
一方、個室ごとに衣類を管理したい人、収納物が少ない人、湿気や生活音を特に気にする人は、一方向の収納や既製家具との比較が必要です。家族全員が毎日使うとは限らないため、収納のために居室を削る判断は慎重にします。
相談時に確認する質問
- 収納後にLDK・個室へ残る面積と家具配置はどうなるか
- 棚・パイプ・扉を含む金額と、既製品との差額は何か
- 洗面・室内干しとつなぐ場合の換気・湿気対策は何か
- 点検口・配管・分電盤へ将来アクセスできるか
- 子どもの成長後に棚や用途を変更できるか
まとめ
ファミリークローゼットは、収納を大きくすることより、洗う・干す・着る・戻す動作をつなげることが重要です。70㎡前後では、通り抜け型と一方向型を比べ、収納量だけでなくLDK・個室・通路のバランスを図面で確認します。
中古マンションの間取り変更や家事動線を見直す方法も確認し、購入前に持ち物と家具寸法を会社へ渡しましょう。洗濯と収納を近づけたい場合は、回遊動線の考え方とランドリールーム計画も同じ図面上で比較してください。
参考にした一次情報
- 国土交通省「マンション標準管理規約」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutaku-house_tk3_000023.html
- パナソニック「収納 plan」https://sumai.panasonic.jp/interior収納/
- LIXIL「収納」https://www.lixil.co.jp/lineup/storage/


