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中古マンション購入+リノベの予算の決め方|借りられる額より暮らしを優先

間取り図と家計簿を広げて中古マンション購入とリノベーションの予算を考える夫婦 費用・資金計画

「住宅ローンはいくら借りられるのか」と「住宅にいくら使ってよいのか」は、同じではありません。

借入可能額は、金融機関が年収や既存の借入、返済期間などから審査する金額です。一方、無理なく使える住宅予算は、教育、旅行、食、趣味、老後の備えなど、これからも大切にしたい暮らしを残したうえで決める金額です。

中古マンション購入+リノベーションでは、さらに物件代、購入諸費用、工事費、入居までの費用を一つの予算へ収める必要があります。この記事では、暮らし全体から購入予算を逆算する順序を整理します。

結論:住宅以外に残したいお金から考える

住宅予算は、金融機関から提示された借入可能額をそのまま採用するのではなく、次の順序で決めます。

  1. 今の家計を把握する
  2. 将来も続けたい支出とライフイベントを整理する
  3. 住まいに使える月額を決める
  4. 管理費や税金を差し引き、ローン返済に使える月額を出す
  5. 金利や収入が変わる場合も試算する
  6. ローンと自己資金を合わせた総予算から、諸費用・工事費・予備費を引く
  7. 最後に物件価格の上限を決める

国土交通省も、住宅購入は金額が大きく返済が長期にわたるため、長期的なライフプランに照らして判断する必要があると案内しています。

「借りられる額」「毎月払える額」「使ってよい総額」を分ける

予算を考えるときは、次の3つを混同しないことが大切です。

金額意味決める主体
借りられる額金融機関の審査上、融資を受けられる可能性がある額金融機関
毎月払える額現在の家計だけを見て、返済できそうに感じる額自分たち
使ってよい総額将来の支出と変化にも備えながら、物件・諸費用・工事へ使える額自分たち

たとえばフラット35には、年収に占めるすべての借入の年間返済額について総返済負担率の基準があります。しかし、これは融資の利用条件であり、各家庭にとって無理のない返済額を示す基準ではありません。

審査に通るかを確認する前に、自分たちの暮らしを維持できる金額を決めます。

住宅以外で、どこにお金をかけたいかを話し合う

家計を削って住宅へ回せる金額を探すだけでは、購入後の暮らしが窮屈になります。先に「これからも大切にしたいこと」を整理しましょう。

項目話し合いたいこと
住宅立地、広さ、間取り、性能のどれを優先するか
教育進学先、習い事、留学などにどこまで備えるか
旅行・娯楽年に何回、どの程度の旅行や外出を続けたいか
外食や食材など、今の楽しみをどこまで残したいか
衣服・美容毎月・毎年の支出をどの程度見込むか
車・移動購入、買い替え、駐車場、維持費をどう考えるか
趣味道具、イベント、レッスンなどに使う金額を残すか
働き方転職、独立、育休、時短勤務による収入変化に備えるか
親の介護移動、住み替え、介護費用が必要になる可能性があるか
貯蓄緊急予備資金と老後資金をどのペースで積み立てるか

優先順位に正解はありません。住まいへ多く使う家庭もあれば、旅行や教育を優先する家庭もあります。重要なのは、住宅を買った後も続けたい暮らしを、購入前に言葉と金額にしておくことです。

購入+リノベ予算を決める7ステップ

手取り収入と現在の支出を把握する

額面年収ではなく、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入を基準にします。給与明細、通帳、クレジットカードの履歴から、少なくとも直近1年の支出を確認します。

賞与をすべて返済へ充てる計画は、賞与が減ったときに崩れやすくなります。毎月の安定した収入で維持できる計画を基本にし、賞与は繰上返済や予備費に回せる余地を残します。

将来の支出を年表にする

教育費が増える時期、車の買い替え、転職、育休、親の介護、退職など、分かる範囲で時期と金額を並べます。

日本FP協会の家計用ツールは、家計の収支表とライフイベント表を基に、20~30年分のキャッシュフロー表を作る方法を案内しています。将来を正確に予言するためではなく、お金が不足しやすい時期を早めに見つけるために使います。

住まいに使える月額を決める

現在の家賃と同じ金額なら安全とは限りません。購入後は、住宅ローン以外にも費用がかかります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険
  • 駐車場・駐輪場
  • 専有部の設備交換や修理への積立

国土交通省も、マンションを所有する継続費用として、住宅ローンのほかに管理費、修繕積立金、税金、保険料などを挙げています。

住まいに使える月額からこれらを差し引いた残りが、住宅ローン返済へ回せる月額です。

条件が変わった場合も試算する

一つの前提だけで決めず、少なくとも次の変化を試します。

  • 変動金利が上がる
  • 管理費・修繕積立金が増える
  • 育休や転職で一時的に収入が下がる
  • 教育費や介護費が想定より増える
  • 病気や修繕でまとまった支出が発生する

どの程度変化させるかは、家族構成、雇用形態、金融商品によって異なります。複数の条件で家計が赤字にならないか、緊急予備資金を使い切らないかを確認します。

ローン返済額から借入額を試算する

返済へ回せる月額が決まったら、検討中の金利タイプ、金利、返済期間を使って借入額を試算します。同じ返済額でも、金利と期間によって借りられる額と総返済額は変わります。

シミュレーションの結果は目安です。実際の審査金利、融資額、団体信用生命保険、手数料などは金融機関へ確認してください。住宅ローンとリノベーション費用では、物件費と工事費をまとめて借りる場合の注意点を解説しています。

自己資金をすべて使わない

頭金を増やせば借入額を抑えられますが、手元の現金を使い切ると、購入後の故障や生活変化に対応できません。

手付金、購入諸費用、引越し、家具・家電など、融資で賄えない支出もあります。自己資金のうち住宅へ使う金額と、購入後も残す金額を分けます。必要な現金の項目は中古マンション購入+リノベで必要な現金も確認してください。

最後に物件価格の上限を出す

借入額と住宅へ使う自己資金を合わせた金額が、購入+リノベーションの総予算です。そこから次を先に取り分けます。

  • 物件購入の諸費用
  • 設計・リノベーション工事費
  • ローン関連費用
  • 引越し・仮住まい・家具家電
  • 解体後の追加工事などに備える予備費

残った金額が、物件価格の上限です。中古マンション購入+リノベーションの総費用では、総額の内訳と支払い時期を整理しています。

計算例:総予算から物件価格を逆算する

仮に、家計と将来支出を確認した結果、住宅へ使える月額が16万円だったとします。

項目月額の例
住まいに使える月額16万円
管理費・修繕積立金3万5,000円
税金・保険・専有部修繕への積立1万5,000円
ローン返済へ回せる月額11万円

11万円を基に実際の金利と期間で借入額を試算し、住宅へ使う自己資金を加えた結果、総予算が5,000万円になったとします。

総予算から先に取り分ける費用金額の例
購入諸費用・ローン費用300万円
リノベーション費用1,200万円
引越し・家具家電・予備費200万円
物件価格の上限3,300万円

これは考え方を示すための例です。諸費用や工事費は、物件、工事範囲、ローン商品によって変わります。

物件価格を先に4,000万円と決め、残った金額で工事を合わせるのではありません。実現したい工事と必要経費を残してから、検索する物件価格の上限を設定します。

借りられる限度額まで借りてはいけないのか

限度額まで借りることが、必ず間違いとは限りません。

住宅を最優先にしたい、収入減少や金利上昇を含む複数の試算でも家計を維持できる、必要な貯蓄も残せるのであれば、借入可能額に近い計画が成立する場合はあります。

ただし、金融機関の上限を見てから生活費を削るのではなく、暮らしと将来支出から出した予算と借入可能額を最後に比較してください。借入可能額の方が大きくても、その差額まで使う必要はありません。

夫婦で予算を決めるときの注意点

共働き夫婦では、収入を合算すると借入可能額が大きくなることがあります。返済期間中ずっと現在の収入が続くとは限らないため、次も話し合います。

  • どちらかが育休・時短勤務になった場合
  • 転職や独立を希望する場合
  • 家事・育児の分担を変える場合
  • それぞれが自由に使える金額
  • 教育、旅行、食、趣味の優先順位

予算を低くするために片方の希望だけを削るのではなく、住まいを含む暮らし全体の配分を決めます。

二人で借りる場合は、片方の収入が減る月を別に置く

夫婦それぞれの収入を前提に返済を考える場合は、現在の合計収入だけでなく、育休・時短勤務・休職・転職などで片方の収入が変わる月を、家計表へ別の条件として入れます。どの借入形態が適するか、団体信用生命保険や持分・税の扱いは商品と契約で異なるため、この記事だけで決めず金融機関や必要に応じて専門家へ確認してください。

  • 片方の収入が変わる期間に、ローン返済・管理費・修繕積立金・生活費を誰がどの口座から支払うか
  • 収入が戻らない場合に、生活費、貯蓄、物件価格、工事範囲のどこを調整するか
  • 返済に不安が生じた場合、いつ借入先へ相談するか

金融庁は、収入減少などで住宅ローン返済に不安を感じた場合、早めに利用中の金融機関へ相談するよう案内しています。将来の収入変化は正確に予測できないため、特定の減収率を前提にせず、家族の働き方に近い複数の条件で資金表を比べましょう。金融庁:住宅ローンの返済、どうしよう?

物件探しの前に3つの表を作る

相談前に、精密な資料を作る必要はありません。まずは次の3つで十分です。

  1. 現在の年間収支表
  2. 将来のライフイベントと大きな支出の年表
  3. 物件・諸費用・工事・予備費を分けた総予算表

この3つがあると、金融機関には返済可能額と借入条件を、リノベーション会社には物件と工事の配分を具体的に相談できます。物件を決める前から相談する流れは中古マンション購入+リノベーションの進め方で解説しています。

実際に試算する:予算シミュレーターの使い方

ここまでの考え方を数字に置き換えられるように、Excel形式の予算シミュレーターを用意しました。黄色のセルを自分の条件へ置き換えると、ローン返済へ回せる月額、借入額の目安、物件価格の上限、金利上昇時の余裕、30年後までの金融資産残高を確認できます。

まず入力する4つのシート

  1. 支出優先順位:食、教育、旅行、衣服、趣味などを「現在」「購入後も残したい額」「最低ライン」に分ける
  2. 入力と結果:手取り、生活費、貯蓄、管理費、金利、返済期間、自己資金、工事費、諸費用を入力する
  3. ライフイベント:教育費、車の買い替え、旅行、育休、設備交換などを発生する年へ入力する
  4. 入力と結果へ戻る:物件価格の上限と、条件を変えたときの余裕を確認する

3つの条件で試す

1回の計算だけで決めず、最低でも次の3パターンを保存またはメモして比べます。

  • 希望条件:現在の収入と希望する物件・工事費で入力する
  • 慎重条件:金利を1〜1.5ポイント高くし、世帯手取りを10〜20%下げる
  • 調整条件:購入時期、物件価格、工事範囲のどこを変えれば赤字を避けられるか試す

特に、金利上昇時または収入減少時の月余裕がマイナスになる、購入後に残す現金を確保できない、30年間の途中で金融資産がマイナスになる場合は、借入上限より物件価格や工事範囲を先に見直します。

試算結果は、金融機関には金利・返済期間・融資額を、ワンストップリノベーション会社には物件費・工事費・諸費用の配分を確認するための相談資料として使えます。数字を確定するものではなく、相談時に確認すべき条件を見つけるためのシートです。

まとめ

購入+リノベーションの予算は、住宅ローンで借りられる上限から決めるものではありません。

教育、旅行、食、衣服、趣味、働き方など、購入後も大切にしたい暮らしを先に整理します。そのうえで住まいに使える月額を決め、管理費や税金を差し引き、金利や収入が変わる場合も試算してください。

最後に、借入額と自己資金を合わせた総予算から、諸費用、工事費、生活関連費、予備費を取り分けます。残った金額を物件価格の上限にすることで、物件を買った後に必要なリノベーション費用が足りなくなるのを防げます。

参考: 国土交通省「ライフプランが住まい選びの鍵!」国土交通省「賢く判断する住まい選びのポイント」国土交通省「住まいにはどんな費用がかかる?」フラット35(保証型)ご利用条件J-FLEC「シリーズ教材 お金のキホン」日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」

予算の上限と暮らしの優先順位を会社へ伝える前に、リノベ会社への相談準備シートで条件を整理できます。

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